
さて、こんな道路標識を見たことはあるでしょうか?
どんなところにあるかは、何となく標識を見ればお分かりですね。
(分からなかったら、標識として失格ですねぇ笑)
この標識は「勾配」、つまり坂道の傾斜の緩急を一目で表した…(つもりの)標識です。
ですが、これを見て「どのくらい急なの?」ということをパッとイメージできる人は少ないと思います。
これでは標識として意味ないですよねぇ。
では、もっと坂道をイメージしやすい指標はなんでしょうか?
そう、坂の傾斜(「角度」)が分かるとイメージしやすいですよね。
実は、この標識を見ただけで、 この坂の傾斜が分かります!
どうやって傾斜が分かるのかというと、「高校数学」の知識を使うと、
あっという間にわかってしまいます。
そもそもここに書いてある10%というのは、
直線距離1000m進んだときに、100m高さが上がるか、という意味なのです。
イメージは下記の図の通り。
標識の10%というのは、1000m進んだときに何m高さが上がるか、その割合のことです。
この場合、100/1000=0.1=10%というわけです。
ここで知りたいのは、このときに何°の傾斜がついているかということです。
ここで、高校数学で学習する「三角比」というものが使えます。
三角比とは、下のようなある角度θの直角三角形のある1つの辺の長さともう1つの辺の長さの比のことです。たとえば、下の三角形の各辺の長さをa,b,cとおきます。すると、
c/bをsinθ、a/bをcosθ、c/aをtanθとおくと決められました。
![]() |
tanθ=0.1になるのはだいたい6°くらい |
なんと、このsinθ、cosθ、tanθというのは、角度θによって決まった値をとっていて、古代ギリシャ(歴史は紀元前にも及びます)で発見されました。つまり、この値が分かれば、斜面の角度が分かるよ、ということです。上表のようになります。
先ほどの傾斜が10%の坂を考えた場合、a=1000(m)、c=100(m)となるので、tanθはc/a=100/1000=0.1=10%となります。
「標識の10%はこのtanθ=10%=0.1であること」を示しているのです。
ですから、この値と同じになる角度θを調べれば、斜面の角度が分かります。
表で見ると、θ=6°となります。
というわけで、この標識のある斜面は6°の傾斜ということを示しているのですね!
イメージできるでしょうか?
ちなみに、日本で二番目に急な傾斜を登る鉄道が箱根登山鉄道で勾配が8%となっています(ということは、tanθ=0.8だから、5°くらい)。坂で有名な箱根駅伝の5区の最大勾配は13%(傾斜7.4°)ですから、普通にきつい坂だということがわかると思います。
結構急な割には、傾斜5°くらいなんですね〜。分度器だと大したことないですが、坂の世界ではものすごくきついです。
高校数学「三角比」は、こうした道路など建築物の計算によく使われています。紀元前からのピラミッドの測量術が現代にも生きているのですね。
今回は、高校数学(一年生)の内容を身近に応用できる話題でした。
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